2026年 03月 02日
<園長だより「風」3月号>子どもたちに身に着けてほしい力
明日はひな祭り。天使幼稚園のホールにも7段のひな人形を飾り、学年別の制作でおひな様を作る子どもたちが、クラスごとに見に来ていました。
♪あかりを つけましょ ぼんぼりに♪
1936(昭和11)年に発表されたサトウハチロウさん作詞、河村光陽さん作曲の「うれしいひなまつり」。
この歌は、サトウさんが娘さんにひな人形を買ってあげたときに作り、また、♪お嫁にいらした ねえさまに よく似た官女の 白い顔♪という歌詞は、嫁ぎ先が決まった矢先に、若くしてなくなったお姉さんを想って書いたと伝わっています。サトウさんの家族を想う深い心がこもった歌です。
ところが、この歌詞にはいくつかの間違いがあることが広く知られています。
♪おだいりさまと おひなさま ふたりならんで すましがお♪
この歌詞から、多くの人が、男雛(おびな)を「お内裏様」、女雛(めびな)を「おひな様」と呼ぶと思うようになりました。しかし、ひな壇は宮中の婚礼の様子がモデルであり、「内裏」とは天皇が居住し政務や儀式を行った場所を指し、そこにお住まいになる天皇皇后両陛下を尊んで「お内裏様」と呼ぶようになったということから、「お内裏様」というのは、男雛、女雛二つをさす呼び名になります。また、おひな様の「雛」というのは小さくかわいいという意味があり、おひな様とはひな人形全体を指す呼び名になるのです。
♪すこし しろざけ めされたか あかいおかおの 右大臣♪
ここにもサトウさんの勘違いがありました。宮中での「右・左」の呼び方は、最上段のお内裏様から見た方向で、正面から向かって右にある紅い顔のお人形は「左大臣」にあたります。さらに、この二人は大臣ではなく、左近衛中将(さこんのちゅうじょう)、右近衛少将(うこんのしょうしょう)にあたる「随身(ずいじん・ずいしん)」だと言われています。
そのことを知ったサトウさんは、この歌はあまり好きではなく、「この歌を捨ててしまいたい。」と思っていたとも伝えられています。
のどかだった昭和に発表されたこの曲が、もし令和の現在に発表されていたら、SNS(Social Networking Service=インターネット上で交流できるサービス)を通して一斉に批判された可能性もありますね。その一方、もし今、この曲を作ろうとしたら、AI(Artificial Intelligence=人工知能)を使って正しい情報を手に入れ、それを元に歌詞を作ることができたかもしれません。
園長だより2月号でも紹介したように、IT(Information Technology=情報技術)を含めた身の回りの情報には、正しいものや誤ったものが混在している可能性があります。その中から正しい情報を見極め、これらを活用する力が、未来を生き抜く子どもたちに求められる時代になっています。
他にも、未来を生きる子どもたちに身につけてほしい力があります。それが「転んでも立ち上がる力」です。
詰め込み教育、スパルタ教育などの反省から、子どもの主体性を尊重する教育へと変化してきた日本の教育界の中で「ほめて伸ばす」ことの重要さが認識されています。ただ、どんな教育でも「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」のことわざ通り、単に「ほめること」だけに焦点を当てると「ほめられないとできない」子どもが育ってしまいます。さらに、気持ちよく学ぶ環境を周りが整えすぎ、挫折を知らずに成長した子どもが、ちょっとした逆境も乗り越えられなくなる傾向が見られるようになりました。
自ら成長する力を持っている子どもたち。困ったことが起きたとき、それを乗り越え解決することができるよう知恵を働かせ、苦労重ねながら自らそれを乗り越えることで力をつけていくものです。
ところが、その途中ですぐに周りから助けがあると、自分でやらなくても良いとすぐに諦めたり、楽な道しか選ばなくなったり、成功体験がなく、自分に自信を持つことができなくなったりするものです。
子どもの自主解決力を養うためには、子どもの様子をじっと見守る姿勢も大切です。今の安全を大切にしつつ、子ども自身が未来の幸せをつかむ力を育んでいるのかどうかを、常に見極めることが、私たち大人の役割ではないでしょうか。
(園長 鬼木 昌之)
by tenshikinder
| 2026-03-02 08:00
| 園長だより
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