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<園長だより「風」2月号>得るもの・失うもの

 ここ数年AI(artificial intelligence=人工知能)技術が著しく進歩し、ChatGPTなどを用いると、あっという間に文章を作成したり、希望する絵を描いてくれたりするようになりました。Googleで何かを検索すると、先ずAIによる概要が表示され、さらに花の名前などもカメラで写して検索すると、すぐに名前やその特徴などを教えてくれます。便利な世の中になったものです。

 また学校現場でも、ほとんどの学校で一人1台ずつタブレットが支給され、それを使った学習を進められるようになりました。タブレットを使って計算問題などをすると、間違えた問題をAIが分析し、同じような傾向の問題を繰り返し出すことで、苦手なものを克服することができるようになっているとのこと。さらに今までの黒板に替わってホワイトボードが導入され、プロジェクターを介して、一人ひとりのタブレット画像をみんなで共有できるようになっているところもあるそうです。

 天使幼稚園でも今年度デジタル化を推進。子どもたちの出欠や預かり保育の入退室管理、入金のキャッシュレス化などを通して、事務の効率化やミスの軽減などに取り組みました。

 このようにIT(Information Technology=情報技術)を導入することを通して、効率的で便利な世の中になってきています。

 その一方、ITが生活に大きな影響を与えることに対して懸念する声も高まってきています。

 ChatGPTは、世界中のインターネットに上げられている言語や画像を取り込み、それを分析し文章化したり作画したりしています。そのため、誤った情報が組み込まれたり、良い事か悪い事かの判断がなされないまま提供されることもあるようです。ここでは私たちに本物を見抜く力が求められています。

 さらに、子育てや教育の場でのITの導入には、しっかりとした理念と対策が必要な時代になりました。

 よく話題になっているのが「スマホ子守」の課題です。忙しい時間、子どもにスマホを持たせ、そこで動画を見せたりゲームをさせたりすることでお家の方の時間とゆとりができるというメリットに対し、子どもがスマホ漬けになるという問題です。問題があるのは分かって入るけれど、日々の生活の中、どうしても止められないという声も聞かれます。

 教育現場におけるITの活用には、さらに大きな問題をはらんでいます。

 プログラムされた問題集により、苦手な問題に繰り返し取り組み、力をつけるというメリットはあるものの、それはソフトの制作者の意向にそった学習に組み込まれているのであって、「自ら問題を見つけ出し解決法を見出そう」という、これからの時代の学び方には逆行しているように感じられます。

 文字入力機能や検索によって難しい漢字も簡単に出してくれ、読み方や意味も教えてくれます。そこには、難しい漢字を読むことはできても書くことができないという新たな課題が生まれました。難しい漢字も、その組み立てを考えながら自分の手で書く作業を繰り返すことでその文字をしっかり覚えることができたという経験はありませんか。それは一見非効率的ではあるけれど、真の意味での学力を伸ばすためには必要な過程になっています。

 また、ITの活用によって、本物を見てはいないのに見たような気持になることも問題です。実際に観光地などに行くと、名所の場面だけではなく、そこに至る道筋や、そこで体験する音や香りなども五感を刺激してくれます。

「教育とは学校で学んだことをすべて忘れた後に残るものである」(アインシュタイン)

 幼稚園、そして小・中・高・大学と学び続ける子どもたち。そのなかで多くの知識を身に着けていくけれど、覚えたことは少しずつ忘れていくものです。教育で最も大切なことは、自分で考え、問題を見つけ出し、解決法を考えるという「学び方」を自分のものにしていくことです。

 どんなものでも、それを利用することによって、得られるものと失うものがあることを理解し、知恵を働かせて使いこなすことが大切です。ITの進歩により、私たちは便利さや効率の良さを手に入れることができました。その一方、ITによって失うものがあることに気付くことが、私たちの豊かな暮らしに欠かすことができないことではないでしょうか。

                 (園長 鬼木 昌之)


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by tenshikinder | 2026-01-26 08:00 | 園長だより | Comments(0)